月に吠えらんねえ

青年マンガ

【月に吠えらんねえ】第55話ネタバレ&あらすじ

投稿日:

前回(54話)のあらすじは・・・
愛国心の表出でもある縊死体を肯定したい釈は、

新しい神の力を得た白が朔に何をするのか不安だった。

 

【月に吠えらんねえ】第55話のネタバレ&あらすじ

「愛の詩」

対峙

降りしきる雨の中、向かい合う白と釈。
釈は何故朔と会ったのかと白を責める。

□街の新たな神となった白が夢を解き放ってしまったら、

あの姉弟を――ひのもととその弟を、神の座につけるのと同義。

天に背く覚悟があるのかと問い質す釈に、白は淡々と言葉を返す。
僕らを定義づけるのは、その先を知っている君たちだ。

僕にはもうあの子の声しか聞こえない、と。

釈はそんな白の姿にかつての自分自身を想起し、

もう、白を止めることができなかった。

釈は目を伏せ、白は朔のもとへと走り去る。

 

 

行くもの、立ち塞がるもの

家へと戻ろうとした釈を呼び、駆け込んできたのはミヨシだった。
雨の様子から、朔の身に何か異変があったのではないかと案じやって来たのだ。

朔の元へ向かおうとするミヨシの肩を抑え押しとどめる釈。

それでも行こうとするミヨシに、釈の身から生えた黒い触手が襲い掛かり、

ミヨシは触手に絡め取られ動きを封じられてしまった。

触手は縊死体のもの。やはり釈が縊死体に取り込まれていたと、ミヨシは愕然とする。

戦後を知らぬ者たちとの断絶を痛感する釈は、

ミヨシに、朔の姿をした「死の街の子供」がどこにいるのかを問い質す。

ミヨシの家にいると聞くやいなや、釈は触手に捕えられた

ミヨシをそのまま引き摺り、ミヨシの家へ向かった。

 

 

結実した想い

白は屋敷に入り、朔のもとへやってきた。
朔は畳の部屋に一人、正座していた。

おれを殺しに来たんでしょう、と朔は静かな面持ちで告げる。
白は瞠目した。

朔は目を伏せ――平静であろうとしているようだが、

感情は押し殺し切れず、何処か苦しげな表情である。

白は手を伸ばし、朔の髪に触れた。

そのまま、髪を掻き混ぜ、白はとびきりに笑う。

そんな顔をして言うことかよ。

白の笑顔を前に驚愕を浮かべた朔は、あなたは誰と訊ねた。

 

「詩人 そして詩だよ」
「君もそう」
「詩人が限りなく自分の詩に殉じた姿だ」

 

しかし、僕が誰か、君が誰か、正義がどうの、何もかもどうだっていいと白は断言する。

「何もかもどうでもいい」と言い切ってくれる者こそ、朔の望みであることを白は知っていたのだ。

朔は罪を犯したかったと告白し、微笑みながら涙を流す。

己が生み出した理想の白に、そう言わせているのだという状況に泣き笑いしながらも、
朔の夢を叶えるために現れた白と、念願を果たすことを受け容れた朔の行く道は決まっていた。

白は朔を抱擁し、恋人のように微かに触れ合い、笑い合い、
二人の唇が触れあい抱き締めあった瞬間、朔は完全な女性へと姿を変えていた。

 

白と朔だったものが結ばれた直後、屋敷の屋根を樹が突き破った。
天を突こうと言わんばかりに、みるみる太い幹の大樹が育っていく。

蔦が伸びて幹に絡まり、竹藪は隆起する。
天には月が輝いている。

朔太郎の姿をした小さな子供は、異変の最中、じっと一点を見つめながら「月に吠える」を諳んじた。

 

 

それぞれの罪

龍は朔と別れた後、犀の世界に入り込んでいた。

米軍だらけで日本人が大勢連れて行かれている場面に遭遇しながら、

犀の居場所がわからず彷徨い歩いていたのだ。

朔に声が届かないかと語りかけてみるも反応はなく、聞こえてはいないようだった。
あちらこちらが廃墟と化し、死体が幾つも転がる地獄のような場所。

龍は洞穴のなかについに犀を見つけ、駆け寄った。
犀は暗闇の中に座り込み、物憂げな表情をしていた。

近付いた龍が見たのは、犀の腕に抱かれた血塗れの小さな男の子の死体だった。
犀は、ここが沖縄であると言う。

米軍が上陸し、戦場となった沖縄。連合艦隊は沈み、みな逃げ惑っている。
子供は親と死に別れて泣いていたのを見つけ、

暫く共に過ごしたのだが、爆撃にやられてしまったのだ。

サイパンで失ったハルコのことを想い、

あの娘のときと同じだ、俺は何もできなかったと悔やむ犀。

今にも自責で潰れそうな表情をした犀を、龍は叱咤する。
犀にこんな経験はない。これは君の夢じゃない。日本の記憶だと。

犀はふざけるな、何が日本じゃと声を荒らげる。
子供たちが死んでいる間に、犀は田舎に疎開していた。

かつて龍や朔と過ごした高原で花々に囲まれて、

日本万歳と書いていたのだと、子供を抱いたまま悲痛に犀は叫ぶ。

涙を流す犀をそっと抱き締める龍。

「僕も同じことをしたよ」と慰めを掛ける龍だが、

犀は「君はしなかった」と龍の言葉を否定した。

戦争が激化し、国のためにと戦意高揚の作品を書くことを

求められる中、龍は既にこの世にいなかった。

しかしもし生きていたとしても。

 

「君はきっと そんなもの 死んでも書かんかったよ…」

 

犀の悔恨は深く、重かった。

 

 

 

【月に吠えらんねえ】第56話のネタバレ&あらすじ

 

ComingSoon

 

-青年マンガ
-, , ,

Copyright© ニクノガンマ , 2020 All Rights Reserved.