前回(7話)のあらすじは・・・
日雇い労働で日銭を稼いでいた竹中修二。
そんなある日突如宝くじで三億円もの大金を当ててしまったのだ。
そんな出来事をまるで芥川小説『杜子春』のようだと竹中は思うのであった。
【グッドジョブ】第8話のあらすじ&ネタバレ
金の使い道
竹中の周りには金を振る舞うような友人も居なければ、親や親類とのつながりもない。
とりあえず宝くじのお金は銀行に振り込む事なく、現金で渡してもらったのだった。
そんな大金を目の前にした竹山は
「一ヶ月四十万使って、一年で四百八十万、十年で四千八百万」
「五十年以上これで生きられる…このお金をちびちび使い…何もせずに生きていくか…」
「とにかく自由だ…俺はこのお金で自由に生きられる。最高だ…このまま何もやらなくても五十年生きていけるんだ」
そう思ったのだが、何もせずに寝ているだけ過ごすのは無理だった。
無造作に百万をポケットに詰め込み、足の向くまま競馬場にやってきた。
今までやった事も興味を持った事もなかったが、第八レースで誕生日の馬券を買ってみると千五百万も当ててしまい、更にお金を増やしたのだった。
熱くなるもの
車や家などに興味もなく、欲しいと思った事ない竹中。
今住んでいる三畳の部屋で十分であったが、引っ越してみる事にしたのだ。
毎月四十万を使い続けて五十年生きるのは現実的に無理だと考えた竹中は、もしかしたら熱い時間を持てるかと思いある事をする事にした。
それは昔、少しやった事のあるネット証券を使った株の売買だった。
パソコンを三台買い、ネット証券に口座を開き、一億円を入金した。
売りも買いも信用の売買だと一億あれば三億以上の戦いができる。
信用の場合は売りで勝負しても買いで戦っても三日以内で決裁すると決めていた。
さらに現物の買いさせるため一億円入金させた。
現物買いの場合は決裁の時間は決めない。
これと思った会社の情報を集め日本のニュース、世界をかけめぐるニュースととにかく情報を頭に入れた。
場が開く九時から昼をはさんで三時まではパソコンの前から離れる事なく座りっぱなしだ。
金を使って金を稼ぐ、いわゆる博打にこんなに熱くなっている自分に初めて気付くのだった。
竹中は初めて楽しく生きられるものを見つけたのだ。
そんなある日いつものように新聞に目を通していると、ある会社が目に止まった。
日本も資源国家になるべきだと創業されたジャパン資源掘削だ。
その会社の株主総会が明日あることを知る。
それを知った竹中は悩んだ末に一度拾った金だと思い一発勝負をかけ、一株一千八百円を五万株信用で売りに出すことに。
大勝負を終えた竹中は公園のベンチに寝転ぶとふと考えた。
「最近確信に変わったな、自由ってのは他人と関係しない、自分の中にだけあるもんなんだ。
そのかわり、一人のさみしさそんなのは関係ねぇや。
たった一つ自由から生まれる責任、それは自分が取る、これも確信になってる」
ふとそんな事を考えていると一匹の大型犬が竹中のところに飛び付いてきた。
驚いていると、後ろから綺麗な女性が現れたのだ。
この犬の飼い主なのだろうか、犬を静止されると竹中に謝罪を述べ去って行った。
突然現れた綺麗な女性に見惚れていたが、自分は女性と縁はないし他人と関係しても面倒が増えるだけだと特に気にする事なくまたベンチに寝転んでいた。
すると次は二人組の男性が竹中の元へとやってきた。
二人は警察のようで竹中へ田中源三郎を知っているかと訪ねてきた。
聞き覚えのある名前に竹中は、ホームレスの源さんかと警察に尋ねるとその人本人だった。
警察署に行き、詳しい話を聞くと一週間ほど前に施設で源さんは亡くなった。
遺留品の中に手紙が入っており、
「大口公園によく来る三十手前くらいの竹中修二という男性にこの包みを渡して欲しい」
そう書いてあったのだ。
それを見た警察は公園で特徴と一致する竹中に声をかけてきたのだ。
法律上、正当という事で竹中に包みを渡してきたのだが、中身は現金五百万円だった。
源さんが生きてる頃、弁当を差し入れたお礼なのか、身寄りが居なかったのか、理由は分からないが自分に使う事なく何故自分にこんな大金を残していったのか、悲しさと疑念が竹中の頭に浮かぶばかりだった。
帰宅した竹中はジャパン資源掘削の株を確認するためパソコンを開くと驚愕した。
たった数日でマイナス九十八%、一株一千七百六十二円、五万株だから八千八百十万円も儲かっていたのですぐに決済を完了させた。
博打に勝った竹中の体は燃えているかのように熱くなった。
三億円が五億円に
宝くじで当たった三億円がどういうわけか今は五億円にまで増えている。
そんな竹中は次に銀座のクラブとやらに行ってみた。
知らない事はどんな事でも体験してみようと思ったのだ。
しかし店に行くのは初めてだった竹中、初見のお客さんは断っていると門前払いを食らってしまった。
仕方がないと帰ろうとすると、ある女性が声をかけてきたのだ。
「私のお客様です。」
その女性の顔を見た竹中は驚いた。
この間公園で見かけたあの犬の飼い主だったのだ。
「大口の公園ではご迷惑をおかけしました。」
席に着いた竹中に女性はこの間の話をしてきたのだった。
「こんな所で会うとはびっくりしました」
竹中はそう答えた。
「あの子私以外の人へは絶対に行かないのにあなたの事よっぽど気に入ったみたい」
「あっ、ごめんなさい。私ここでは亜矢だけど本名は真野洋子です」
「俺、竹中修二です」
「あの、なんで俺なんかの事覚えててくれたんですか」
「私もあんまり人の事覚えないんだけど…なんでだろう」
「ゴローが大喜びしたように私もうれしくなっちゃったのかな」
出会った女性は、高級クラブのナンバーワン。
急展開していく男の人生、その結末は?